北斗の拳 第5話 地獄に咲くか愛の炎・おまえはもう死んでいる‼︎

〜地獄に咲くか愛の炎・おまえはもう死んでいる‼︎〜



ーーあらすじ

 

眩しい太陽の照らす砂漠…

その崖っぷちに立つ男ケンシロウ

ユリアの面影を追い、同時にそれを奪ったシンへの怒りを拳に込め、震わせていた。

 

シンの居城では相変わらず美しい旋律のハープを奏でるユリア。

そのもとにシンがやってくるとユリアは演奏をやめ、シンが美しいと評するこの音色はユリアにとっては悲しみの音色であると表現。

しかしシンにこの言葉が響くことはなく、シンはこの居城を去って新たなる南の都・サザンクロスに拠点を移すことをユリアに伝える。

煌びやかで豪華な街…

シンは旅立ちの支度や用意をユリアに促してその場を去る。

 

ケンシロウはKINGであるシンを討つため、1人による旅を決意。

同行しようとするリンやバットに対して「来るな。これは俺1人の戦いだ。」と突き放し、リンは「あんな顔したケン、初めて…。」と事の重さを認識した。

 

ケンシロウブラッディクロスの旗が掲げられた居城に辿り着き、シンをついに追い詰める。

ここで思いに耽ったのか、一旦過去に遡ることに…。

 

その頃、ケンシロウとユリアは墓参りをしていた。

ケンシロウ北斗神拳伝承者である師の墓参りであった。

墓参りを終えると、ケンシロウとユリアは退廃的なこの時代で生き抜くために、2人で精一杯手を取り合っていくことを約束。

ケンシロウはユリアを抱きかかえ、2人は誓いの言葉を交わした。

しかしその幸せな時間も束の間…

 

目の前のバイクに斧を振りかざした悪党の集団がケンシロウの目の前に現れる。

そしてその奥に見えるのが紛れもなくシン。

力こそが正義。いい時代になったものだ!

一歩一歩ケンシロウとユリアに近づくシン。

 

そしてシンはユリアに対し「俺は昔からユリアが好きだった…。」と表現。

ユリアは「なによ。そう思われただけで死にたくなります!」と強い拒否反応を示すが、シンは「ますます好きになる…。俺はそういう気が強くて美しい女が好きだ…。」と歪んだ愛情を一層強めてしまう。

 

流派は違えど共に拳法を学んできた仲であるシン。

ケンシロウは師の教えである「表裏一体の北斗と南斗。互いに争うべからず。」の道理をシンに説いたが、シンは全く聞き入れずに師の墓を粉々に砕いてしまう。

ついにケンシロウとシンは拳を交えたが、

圧倒的な拳法差にケンシロウは血を吹き出して倒れてしまう。

南斗獄殺拳(なんとごくさつけん)VS北斗飛衛拳(ほくとひえいけん)

 

ユリアは傷つくケンシロウに駆け寄ろうとするが、シンの部下に取り押さえられてしまう。

シンは

俺とお前の間には致命的な違いがある。

それは…

欲望… 執念だ。

とぶった斬る。

 

執念や欲望が足りないケンシロウと違い、シンは力づくでモノや女を奪おうという征服欲を持っていた。

シンはケンシロウの顔を踏みつけるが、シンはユリアのケンシロウへの未練を断ち切るため、「ユリア。俺を愛している…と言ってみろ。」と強要。

 

シンはそれを言えないユリアの眼前でケンシロウの胸に指を押し付け風穴を開けてしまう。

1つ2つ…と続くにつれ、ユリアの悲鳴は増していく。

ユリアのたった一言の愛情表現を引き出すためにケンシロウの胸に7つもの深い傷をつけるという非道な行為に及んだのだ。

ケンシロウはユリアに対し、自分の分まで生きてほしい…と半ば死を覚悟していたが、ここでついにユリアが「あ、愛します…。」と口にする。

 

しかし声が小さいことを理由にケンシロウへの攻撃をさらに強めるシン。

折れたユリアはついに「愛します…! シン、一生どこへでもついていきます…‼︎」と涙ながらに訴える。

シンは気が済んだのか

女の心変わりは恐ろしいのう…

ケンシロウへの攻撃をストップする。

 

シンは「享楽の花園(きょうらくのはなぞの)」と称して、新たなる街へユリアを連れ出すことに。

ケンシロウはその場で倒れ込んだまま、ユリアが連れ去られるシーンを見て「ユリアーー‼︎」と叫ぶことしかできなかった。

 

ケンシロウはその後フードを羽織り、暑い砂漠の中でユリアの影を追うことしかできなかった。

それでもユリアのために奮い立つ。

 

ケンシロウとユリアの知られざる過去が判明し、回想が終わるとケンシロウは目の前のブラッディクロスの建物に侵入。

暗闇の通路を進む中、見張りのKING軍がケンシロウの存在に気づき、大挙する。

ケンシロウはそのKING軍を一網打尽。

北斗百烈拳(ほくとひゃくれつけん)

 

その通路を抜けると大広間に到着。

やけに閑散としていた。

ケンシロウは「シン! どこだ‼︎」と叫ぶ。

すると奇妙な笑い声がケンシロウの耳に入る。

ケンシロウは笑い声の方向に目を向けると、螺旋階段の手すりにシンの参謀であるジョーカーが居座っていた。

KING様はここにはいない。

旅立たれた…。

ユリア様とご一緒にな…。

と。

 

ユリアを乗せたシンの車はブラッディクロスの建物から大移動を開始しており、シンは「今度こそヤツの終わりだ。」と高笑いしていた。

 

ケンシロウの背後からKINGのメンバーが迫ってきたが、ケンシロウは服を剥ぎ、本気モードに突入。

KING軍を全滅させた。

しかし参謀のジョーカーはなぜか不気味に笑っていた。

ケンシロウが足元に目を向けると床はある液体で満たされていた。

なんと石油の漏れだったのだ。

ジョーカーは火をまとったトランプを投げつけ、点火させる。

周りは火の海になり、ケンシロウは上の階に避難するが、のぼった先にはジョーカーが再び待ち構えていた。

 

ジョーカーは自身が呼び出した鷲に掴まり、その場を離脱。

城の地下は石油の倉庫になっており、しばらくすると建物は大爆発。

ケンシロウは生死不明となる。

リンとバットは全焼した建物を見てケンシロウの安否を心配する。

 

シンは「華やかな弔いだ‼︎」とケンシロウの死を皮肉まじりに悼むが、車は止まることなくサザンクロスに向かって発進。

 

しかしなんとか爆心を流れたケンシロウは多少の傷を負いつつ、「この程度では死なん。ユリア… 必ず…必ず…迎えに行く‼︎」と力を込めていた。

地獄の果てまでも追い詰める男、

それがケンシロウなのだ…。

次回はどんな”執念の強さ”を見せてくれるのか、楽しみである。

 

ーー5話感想

 

参謀のジョーカーの有能さが際立ったシーンですね。

ケンシロウを討つための周到な石油の用意、ケンシロウの並外れた拳法の力を見ても一切動じない冷静さ、ケンシロウの前でも飄々とした態度など、KING軍の中でも極めて参謀らしさのある部下ですね。

シンも彼にだけは一目置いているところはあるのではないでしょうか。

 

シンがケンシロウに説いた「欲望」と「執念」。

その2つの欠如が、今回のユリア強奪事件という結果を招いてしまった…。

ユリアを奪うために鬼となるシンがケンシロウに説いた欲望と執念…

それがケンシロウの「ユリアを奪い返す」という欲望執念のきっかけを作り出してしまったことは何とも皮肉な話ですよね。

 

ただその欲望や執念の向ける対象が、シンとケンシロウでは明確に違います。

シンは「ユリアを奪うために力を行使する」というエゴイズム的(利己的)に働く欲望があるのに対し、ケンシロウは「ユリアを奪い返すために世紀末の救世主になった」という利他的(利全的)に働く欲望がある点。

北斗と南斗、表裏一体といったワードを見るに、北斗の拳ではこういった対比的な表現が好まれる傾向があるみたいですね。

 

では次回もまたお会いしましょう。