赤毛のアン 第1話 マシュウ・カスバート驚く

〜マシュウ・カスバート驚く〜

 

ーーあらすじ

 

今からおよそ80年前、19世紀も終わりに近づいた頃、カナダに向かう連絡船の上から海をじっと眺めている少女がいました。

彼女の名前は本作のヒロイン「アン」でした。

赤い髪をした三つ編みの女の子で、頬には少しばかりのそばかすがあり、性格は明るく陽気でした。

そんなアンは生まれてすぐに両親を失い、トマス家、ハモンド家…と孤児院を転々としてきた経緯があります。

そのため、本当の愛情を知らないアンは里親の存在を恋しがっていました。

そして養子として迎え入れることを許可した年老いた兄と妹がいる島(プリンス・エドワード)に連絡船→汽車で向かい、アンは駅で迎えを待っていました。

そこは荒野が広がる田舎であり、自然豊かな島です。

カナダ東部のグリーン・ゲイブルズ。

ここを拠点として物語は展開されていきます。

アンを養子として引き取ることに決めた兄(マシュウ・カスバート)と妹(マリラ・カスバート)は2人とも独身であり、子どもを育てた経験は一切ありません。

実は女の子ではなく男の子を養子に引き取る…という話で合意していました。

これが後のトラブルの種となるわけですが、それは第2話以降で描かれるので省略します。

隣に住むマリラの親友レイチェル・リンド夫人はそのことを気にかけましたが、弟たっての希望で養子を迎え入れることを承諾しました。

船から汽車へ乗り換えたアンはついに駅に到着し、そこでマシュウが迎えに来るまで待ちぼうけていました。

マシュウは女の子への免疫がまるでなく、人前に出ると縮こまってしまう、実に気の弱い性格です。

容姿は太い髭を蓄えた、初老の男性といったところ。

タレ目で、性格は穏やかで柔和です。

そんなマシュウは馬車でアンのいる駅へと静かに向かっていました。

マシュウが駅に着くと1人の少女(アン)が座っていましたが、アンに興味を示すこともなく駅構内に入っていきました。

しかし時計を確認すると前の汽車はもうすでに出発している時間。

さらに駅員の1人にそれを聞くと外で待っている少女(アン)がマシュウの求めていた養子だということが明らかになります。

男の子ではなく女の子…。

女の子が苦手なマシュウは緊張してしまい、手が震えていました。

アンはそんなマシュウの迎えを喜んでおり、「もし今日来なかったら桜の木の上でずっと待っていたわ。」とぶっちゃけていました。

アンは想像力豊かな少女です。

早速マシュウとともに馬車に乗りました。

そして孤児院が嫌いだということもマシュウに打ち明け、その理由は「想像をめぐらすゆとりがない」との事でした。

 

ーー馬車の旅

 

マシュウはそんなアンの熱弁&想像話を聞いていくうちにアンに打ち解けていき、静かに馬車を走らせます。

アンは自分が1人でペラペラ喋るうちにマシュウに負担をかけてないか気にかけ「私…黙ってたほうがいい?」と質問しますが、マシュウは「いいや…喋っていいよ。」と優しい声で返しました。

アンは自分の表現が大げさすぎてしまう、理想論を現実的な思考や想像に例えてしまう、お喋りが過ぎてしまうことで周囲によく笑われてしまうことを告白。

しかしマシュウは決して笑いませんでした。

さらにアンは髪の毛が赤い…という自分のコンプレックスも明かし、それが幸せになれない1番の原因と言いました。

アンは自分のそばかす肌や痩せ細っている自分の身体なんかは持ち前の想像でごまかせるのでコンプレックスには至りませんでしたが、自分の髪の色はあまりに外目に晒されているので想像でごまかすことができない…と悲しみに暮れていました。

そんな話をしているうちに桜が満開に咲き誇るりんご並木を馬車が通ることになり、アンは大興奮。

一瞬のうちに心を奪われ、素敵な余韻とともにりんご並木を通りすぎました。

アンはマシュウに桜道の名前を問うと「りんご並木」と返され、その表現ではロマンチックに欠けるので「喜びの白い道」と自分で表現しました。

そして近づくグリーン・ゲイブルズ。

マシュウはあと1マイルほどで到着すると言い、アンの笑顔とは裏腹に悲しげな表情を浮かべていました。

それは自分たち(兄妹)が迎え入れる養子は本来は男の子だったこと、さらに自分たちが独身という立場上から子供を育てた経験が一切ないこと…などが主な原因だったのです。

夕日に照り輝くアンの希望に満ちた顔と、沈む夕日のように絶望に満ちたマシュウの顔…

ついにアンにとって過酷なグリーン・ゲイブルズでの生活がスタートします。

 

〜終わり〜

 

ーー1話の感想

 

世界名作劇場の1つ「赤毛のアン」はかなり古い作品ですが、アンの独白(一人語り)や美しい景色などかなり見応えのある仕上がりになっています。

アンは作中でもわかるように想像力が豊かな女の子です。

どんな状況でも美しいシチュエーションや想像話に例えて美談にしようとします。

りんご並木を「喜びの白い道」と表現したのは、アンならではの想像力あってこそでしょう。

自然豊かな景色が広がる中、アンは胸がいっぱいになって新境地での生活に期待していましたね。

しかし、マシュウとマリラが引き取るはずの男の子・・

それが赤い髪をした女の子だと知れば妹のマリラはどんな反応をするでしょうか。

第1話で、レイチェル夫人の口から語られた「女の子が毒薬を混ぜて一家危機に陥った話」。

これを聞いてマリラは「でも私たちが引き取るのは男の子ですわよ。」とひと安心の顔。

次の第2話ではアンにとって地獄のような日々が待っているかもしれません。

自分が想像していた”幸せパラダイス”とは全くと言っていいほど程遠い世界だとしたら・・?

また孤児院にいた時の自分と同じ運命を辿るのでしょうか。

長ったらしい想像話で周囲を振り回してしまうのか。

第2話が楽しみです。