赤毛のアン 第2話 マリラ・カスバート驚く

 

〜マリラ・カスバート驚く〜

 

ーーあらすじ

 

緑豊かなグリーン・ガーブルズの景色を一通り馬車越しから眺めた後、ついに目的地寸前まで迫ります。

孤児院で辛酸を舐めてきたアンにとって、自分を快く引き受けてくれる存在は神のようだったのでしょう。

その際、途中で眺めた「喜びの白い道」(りんご並木)、「きらめきの湖」(バリーの池)など、独創的なネーミングをつけてアンはたちまち新境地での生活に夢を膨らませていました。

しかしマシュウの家に着いた途端、その幻想や夢は一瞬にして打ち砕かれてしまったのです…。

待っていたのは「男の子は?」と尋ねるマリラの姿。

それにどもってしまう兄のマシュウ。

しばしの沈黙の後、マシュウが「スペンサー夫人が連れてこられたのはこの子(アン)なんだ…」と返したのでマリラは驚愕。

さらに何かの手違いでスペンサー夫人とは顔を合わせなかったことも告白。

マリラは「まあ!なんということでしょうね…。」と愕然。

その際、一瞬にして夢を砕かれたアンは歯を食いしばり、感極まって「私がいらないのね!?私が男の子じゃないからいらないのね!?」と取り乱してしまいます。

マシュウはアンに同情するように目線を下に落としてうつむきます。

アンはこれまでの夢や幻想が嘘だと知り、「何もかも素晴らしすぎて最初から長続きするわけないと考えるべきだったんだわ!」と絶望に打ちひしがれました。

さらにマシュウと今まで見てきた美しい景色や眺め(りんご並木やバリーの池など)で新境地での期待を膨らませてしまったばかりに衝撃の事実を聞かされてガクンと肩を落としてしまったアン。

アンはその場で泣き崩れ、マシュウとマリラの2人は困惑しました。

マシュウは同情していましたが、マリラは厳しい剣幕でした。

そしてマリラはアンに名前を尋ねるとアンは少し冷静になり、「私のこと…コーデリアと呼んでくださらない?」と願いました。

曰く、「コーデリアは素晴らしくエレガントで素敵な名前…」との事。

それが本名かどうか疑ったマリラは本当の名前を尋ねるとアンは嫌々と「アン・シャーリーよ…」と答えました。

アンは自分の名前を呼ばれることに拒否反応を示しており、その最大の理由はアンの綴りにあったのです。

アンにはAnnとAnneの2通りの呼び方があり、アンは後者の呼び方を気に入っていました。

最後の綴りのeがないとまるで印刷されたみたいにその名前が浮かんでくるから、eの綴りのあるなしはアンにとって重大な問題だったのです。

マリラはどっちも変わらないと言いましたが、アンの気持ちをくんで後者の呼び方を支持しました。

アンはここに自分がいていいかどうかをマリラに尋ねますが、男手を要する野良仕事にアンをとても駆り出せないという理由ですげなく却下しました。

そして3人の夕食、アンはほとんど手付かずの状態で残し、気にかけたマシュウがアンに寝るよう促しました。

アンはまたしても持ち前の想像力で自分の今の状況を「絶望のどん底」と表現し、マリラにもそんな経験があるかどうかを質問しました。

マリラは「いいやないよ。」とはっきり答え、黙々と食事していました。

アンは絶望のどん底に陥ったときは大好物のチョコレートキャラメルすら喉に通らないと言い、「喉に塊が突き上げてきて何も飲み込まなくなるの…」とぶっちゃけていました。

それを訝しげに聞いていたマリラでしたが、特に興味を示すこともなくアンをベッドに寝かせました。

アンは孤児院では2枚しか寝巻きがなく、それを使い回していたためとても窮屈だと嘆いていました。

ただ「首のところにひだがある綺麗な裾の長い寝巻きを着ても夢が見られることだけは同じよね…」と寝巻きの唯一の慰めポイントを挙げ、おしゃべりを嫌うマリラはアンにさっさと寝るよう強要しました。

アンはあまりに理想とかけ離れた辛い環境に耐えられず、布団の中にうずくまってしまいました。

そこで靴も洋服も床に放り投げ、それを見たマリラは丁寧にそれをベッドの上に戻しつつ「よくお休み…」と言いました。

しかしアンは自分の辛い気持ちを知っていながらそんな言葉をぬけぬけと吐き出せるマリラに激怒し、泣き叫びました。

 

 

ーー絶望の夜

 

マリラとマシュウは1階の部屋でアンの処遇について真剣に話し合いました。

マリラは翌日、スペンサー夫人のところに行ってアンを返すべきだ、と言いました。

しかし兄のマシュウは里親を恋しがるアンを孤児院に返してしまうのはあまりにも可哀想すぎる。とアンに同情を寄せていました。

さらにマシュウは「マリラの話し相手にもなる。」と少し意味深な発言をし、マリラは「私は話し相手に不自由してません!」ときっぱり断りました。

マシュウはここに来るまでのアンのユーモア豊かな話を聞いているうちに見惚れてしまったのかもしれません。

マリラはそれを「洗脳」と表現していました。

結局話がまとまらず、マシュウは眠りについてしまいました。

アンは涙を流したまま次の絶望の夜明けとともに眠れぬ1日を過ごしたのでした…。

 

〜終わり〜

 

ーー2話の感想

 

これは衝撃な展開でしたね…。

いや、1話のマリラとレイチェルの会話からなんとなくこんな展開は予想していたんですが…。

アンにとってはショックな事実でしたね。

マシュウも当時はマリラと同じく、女の子に苦手意識を持っていたし、本来なら駅前の時点でアンを追い返していたかもしれません。

しかしアンの話に次第に惹かれてしまい、いつのまにか女の子に対する苦手意識も克服できていた…

これは何かの縁だと感じていたのかもしれませんね。

アンの言葉を借りるなら、「運命的な出会い」とでも言うのでしょうか。

ちなみに作中でアンがeの綴りにこだわるシーンは、原作者であるモンゴメリが自分のこだわりの名前を反映したものだと言われており、原作ファンにとっては嬉しい発見ですよね。

孤児院暮らしで何もかも希望を打ち砕かれたアンにとって、次なる新境地(マリラ・マシュウの家)には特に夢を膨らませていたのでしょう。

それが一瞬にして絶望に変わってしまった…

そんなアンは自分の大好物のチョコレートキャラメルですら喉に通らないほど今の状況を嘆いており、今までの楽しい馬車の旅はつかの間の喜びだったこと、自分が名付けた「喜びの白い道」や「きらめきの湖」は単なる幻想だったことが初めてわかったのです。

これから先、アンはどうなるのか。

第3話以降ではアンにとってどのような生活が待ち受けているのか。

次回が楽しみですね。